読了:いまさら翼といわれても, 米澤穂信 [読書日記]
* いまさら翼といわれても, 米澤穂信, KADOKAWA, 9784041081648
米澤の「古典部」シリーズの短編集である。あとがきに米澤自身がそのようなことを書いているが、これをいきなり読むのは全くお勧めできない。「古典部」シリーズの長編(これまで出ている分)を読んだ後のほうが楽しめるだろう。
内容はというと、おなじみの古典部メンバー4名を主役に据えた短編が6つ並ぶ(サブタイトルのもじり元を考えるのも面白い)。といっても長さはいろいろ。これまでの長編で何度も語られてきた設定やら前提にしてきたことがらについて、その過去と未来について語られる、という趣向である。もちろん謎解き的な楽しみも織り込まれるわけだが、最後まで読み切っての感想は、ミステリとして書かれたというより、「古典部」の世界観を拡張もしくは補完するために書かれたのでは?というもの。まったく見たことはないのだが「古典部」シリーズはアニメ映像化されているはずで、本作は、そちらの方面からのもろもろの要請が成せる業なのかもしれない、と。うがった見方すぎかもしれないが。
まぁそんな裏読みなどせず、おおぉーそういう背景でそういう設定になったわけなのか(涙)、とか、ええぇーそんないきなりちゃぶ台返し(梯子外しともいう)で今後この人はいったいどうなるどうなる?、とか、そういう楽しみ方のほうが本来の姿なのかもしれませんね。
米澤の「古典部」シリーズの短編集である。あとがきに米澤自身がそのようなことを書いているが、これをいきなり読むのは全くお勧めできない。「古典部」シリーズの長編(これまで出ている分)を読んだ後のほうが楽しめるだろう。
内容はというと、おなじみの古典部メンバー4名を主役に据えた短編が6つ並ぶ(サブタイトルのもじり元を考えるのも面白い)。といっても長さはいろいろ。これまでの長編で何度も語られてきた設定やら前提にしてきたことがらについて、その過去と未来について語られる、という趣向である。もちろん謎解き的な楽しみも織り込まれるわけだが、最後まで読み切っての感想は、ミステリとして書かれたというより、「古典部」の世界観を拡張もしくは補完するために書かれたのでは?というもの。まったく見たことはないのだが「古典部」シリーズはアニメ映像化されているはずで、本作は、そちらの方面からのもろもろの要請が成せる業なのかもしれない、と。うがった見方すぎかもしれないが。
まぁそんな裏読みなどせず、おおぉーそういう背景でそういう設定になったわけなのか(涙)、とか、ええぇーそんないきなりちゃぶ台返し(梯子外しともいう)で今後この人はいったいどうなるどうなる?、とか、そういう楽しみ方のほうが本来の姿なのかもしれませんね。
読了:月輪先生の犯罪捜査学教室, 岡田秀文 [読書日記]
* 月輪先生の犯罪捜査学教室, 岡田秀文, 光文社, 9784334778866
明治時代の東京を舞台にしたシリーズもの連作短編集である。
これまでのシリーズで月輪(がちりん)探偵&語り手たるワトソン役という作りだったが、本作はワトソン役不在。その代わり、月輪先生の講義を受講している帝大生3名が、実習の名のもとにそれぞれ推理を繰り広げるという趣向である。
学生による推理が提示されてはそれが合理的な理由で却下されるというのを繰り返し、最終的には月輪が真相を暴くという形自体は本作を通じて基本的に共通。読者としては、読みすすめていく途中から水戸黄門ばりの様式美なのかと思い始める始末である。
ミステリの話としては(部隊たる時代性がそうさせるのかもしれないが)、どちらかというと緻密なトリックというよりはあっと驚くストーリーテリング。もちろんこれはこれで面白く(特に短編であるので)、その時代だからこその事情や錯誤やらも巧みに取り入れているあたりはさすが、と思えた。
気軽に肩の力を抜いて読むのがよさそうである。
明治時代の東京を舞台にしたシリーズもの連作短編集である。
これまでのシリーズで月輪(がちりん)探偵&語り手たるワトソン役という作りだったが、本作はワトソン役不在。その代わり、月輪先生の講義を受講している帝大生3名が、実習の名のもとにそれぞれ推理を繰り広げるという趣向である。
学生による推理が提示されてはそれが合理的な理由で却下されるというのを繰り返し、最終的には月輪が真相を暴くという形自体は本作を通じて基本的に共通。読者としては、読みすすめていく途中から水戸黄門ばりの様式美なのかと思い始める始末である。
ミステリの話としては(部隊たる時代性がそうさせるのかもしれないが)、どちらかというと緻密なトリックというよりはあっと驚くストーリーテリング。もちろんこれはこれで面白く(特に短編であるので)、その時代だからこその事情や錯誤やらも巧みに取り入れているあたりはさすが、と思えた。
気軽に肩の力を抜いて読むのがよさそうである。