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読了:正義の教室 : 善く生きるための哲学入門, 飲茶 [読書日記]

* 正義の教室 : 善く生きるための哲学入門, 飲茶, ダイヤモンド社, 9784478102572

哲学の入門書である。

とある私立高校の生徒会と、高校の倫理の授業とを舞台にして、正義とは何か?を学ぼうとする生徒4人。それぞれのスタンスが異なり、いったいなにが正義なのかの意見がぶつかり合うのだが、それは人類が2000年の歴史の中ですでに考えに考えてきたことなのだ、という流れ。読者としては、異なる主義主張のぶつかり合いと、後に続く(授業の形をとっての)解説を読むことで、いわゆる哲学のおおまかな歴史と現時点での人類としての考え方、を知ることができるというもの。

大学では哲学や倫理学はあえて受講せず、最近になってサンデル先生の著作なども読んだのだが、どうも理解したとはいいがたい状態で読了してしまった状態。地球環境問題やら技術者倫理にからんで、この状態だとちょっとまずいなあというモチベーションで入門書を手に取ったわけである。

3時間くらいで読了して、おそらく学問としての厳密な哲学では、こんなラフな説明ではNGなのだろうが、専門外の者が参考にするためにざっくりした内容を抑えたい、というのにはよいのでは、と思えた。ステレオタイプな感じのする三者三様の登場人物が、「3種の正義:功利主義、自由主義、直観主義」をそれぞれ(それとは知らずに)強く主張するストーリなので、どういう特徴の正義がどういう優位点と欠点があるのか、が何となくであっても頭に残りやすいのだ。哲学を専攻しようというひとではなく、畑違いの人(たとえばエンジニア)向けの哲学入門書としてはなかなか良いのではないでしょうか。

気候変動問題での意見対立とか、最近の極東での外交衝突とか、正しいって何?の根っこが違うところで議論している(から話がひたすらすれ違う)ということなんじゃないかとも思えてきたのが意外な拾いもの。

ただちょっと個人的には、ミステリ小説的な伏線回収が微妙(面白いのだけれど、ちょっとやりすぎの感)だなぁと思ったのと、(わざとなんでしょうが)エピローグが無理くりっぽくて鼻白んじゃったのが残念。

正義の教室 善く生きるための哲学入門

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