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読了:大誘拐, 天藤真 [読書日記]

* 大誘拐, 天藤真, 東京創元社, 9784488408091

古典的名作である。1978年の発表。しばらく積読になっていたのをようやく読了。
そもそも積読にしたのも、「東西ミステリベスト100」の国内ベスト10のうち、読んでないのが当時4編。「虚無への供物」「ドグラ・マグラ」「魍魎の匣」と、もう1つがこれであったというのがきっかけ。4つのうち最初に「虚無・・・」と読んでしまって、後がくじけていたというのが実際のところ。

お話はというと、紀州の山奥にある名家のおばあさんを誘拐することにした3人組、しかし事態は思いもよらぬ方向へ・・・と。
こういう話であるのは知ったうえで読んでいるのだが、ページを繰りながらいやはやこういうことかまてまてと驚きあきれながらも、続きを着々と読み進んでしまうストーリテリングの面白さがポイント。
途中から、なんとなくこれって背後の狙いは〇〇?と思っていたのは、半分あたり。書かれた時代的なものもあるのでしょう。わざわざトライスターとか出してきて、伏線として絶対にあやしい(笑)。

まぁ論理的にみてちょっと強引な展開もなくもないのですが、全体に良い意味で映画的というか、読んで楽しめますね。
名作といわれるものはやはり読んでおくべきと思えた一冊。

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)


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読了:砂と人類 : いかにして砂が文明を変容させたか (The World in a Grain), ヴィンス・バイザー [読書日記]

* 砂と人類 : いかにして砂が文明を変容させたか (The World in a Grain), ヴィンス・バイザー, 藤崎百合, 草思社, 9784794224446

「砂」という地球上でありふれた資源について科学史紹介&環境問題提起という形の本。

目次をパラパラ見て、コンクリートとガラスに関する科学と工業の歴史の話だろうと思っていたのだが、半分はずれ。
前半のうちはそういう趣旨の話が主体で進むのだが、後半になると、現代の人類が「砂」にからんで環境的な問題をいろいろ起こしていて・・・というお話になっていく。ちょっとサブタイトルがミスリーディングな気がした。

科学史パートで砂が活用される先として出てくるのが、コンクリート、高品質ガラス、シリコンチップ、などなど。あらかた知っている事柄も多い気もするのだが、特に米国に特化したお話は初耳のものも多く、またコンクリはともかく、ガラスやシリコンウェハーの話ではよく知っている(米国の)企業もでてくるので楽しく読めること請け合い。

しかし後半は読んでいてやや辛かった。シェールガスがらみの砂採掘で田園風景が破壊されて住民の皆さんが・・・というお話が結構長めに紹介されるのだが、これって米国オンリーのトランプ大統領な話だよね、という感じがしてしまう。

引用文献はしっかりリファレンスがついているのでそれなりに有用なのかとも思うが、あちこちの章に繰り返しの話が多い気がするのと、とりあえずさらさらと読んで必要なところはリファレンス、という使い方をするには、ちょっと本書自体がさらさらとは読めないというのが難点か。翻訳はそんなに悪くないと思うのですが。


砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか


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