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読了:名作文学に見る「家」<謎とロマン編>, 小幡陽次郎&横島誠司 [読書日記]

* 名作文学に見る「家」<謎とロマン編>, 小幡陽次郎&横島誠司, 朝日新聞社, 9784022612045

文学作品に登場する「家」を、建築家の観点で図面に表わしてしまおう、という本。1992年の刊行(文庫化は1997年)。

本書と類似の取り組みとして、有栖川有栖&磯田和一「有栖川有栖の密室大図鑑」(2002)があるが(読了済み)、その前書きで本書が言及されていたのが入手のきっかけ。なので、足掛け十年余、ようやくAmazon Market Placeでリーズナブルなものが販売されていたのを見つけて入手したというもの。で、目次をみるなりなるほどと思った。有栖川はさすが重複を避けたらしい。世界初の密室殺人「モルグ街の殺人」はこちらに収録されていたのである。

読み進めていくと、読んだことある作品が多く取り上げられていた「密室大図鑑」に比べ、まったく不案内な作家や作品が多い。石原慎太郎なんて、そういえば作家だったよなという認識レベルなのだが、しかしここで紹介されている「秘祭」、図版が美しいのもあってちょっとこういうのも読んだほうが良いのかもと思わせるつくり。

後半になると、取り上げられる対象はミステリではなくなる。それでも森遥子だのモーパッサンだの、読んでないなぁと反省させられる分野が沢山。こういうアンソロジー的なものは、年齢を重ねて視野が狭くなっていく読者にとっては本当ありがたいものです。

名作文学に見る「家」―謎とロマン編 (朝日文庫)


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読了:広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由 : フェルミのパラドックス (If the universe is teeming with aliens where is everybody?), スティーヴン・ウェッブ [読書日記]

* 広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由 : フェルミのパラドックス (If the universe is teeming with aliens where is everybody?), スティーヴン・ウェッブ, 松浦俊輔, 青土社, 9784791761265

SETIとかそういう分野の宇宙科学啓蒙本、といっていいだろう。2年ほど積読になってたのを掘り出して読了。

もし文明を発達させた宇宙人がいるのならば何故地球人には彼らが見当たらないのだろう?という問いに対する代表的な答えを50個並べている。代表的と言ってもこれだけあるのだ、我々にはまだ何もわかっていない、といってもいいのかもしれない。書かれたのが2004年ということで、微妙にあれ?と思う古い話も含まれているけれど、最終的には宇宙物理学の話なのでこのくらいの揺れは気にしないで読んだほうがよさそうだ。フェルミの定理が示すように、その定量値はなんとでもあてはめられる分野なのだから。

ともあれ、これら50の仮説をいちいち検証する過程で、あちらこちらの学問の分野が大量に引用されることになるのだが、この過程はなかなかに楽しい。もちろん全部の分野を深く理解するなんて一冊の本でできるはずもなく、ごくごく表面をなぞっているだけなのだろうが、楽しい。「宇宙人はほんとうにいるの?」という素朴(?)な疑問に答えるだけなら、ずんぶんとオーバーテクノロジー(※)。しかしそれを嬉々として一冊の本にまでしてしまうあたり、人類と科学もまだ捨てたもんじゃないかもしれないですね。

※ 対象の分野が全く異なるけれど、東野圭吾「真夏の方程式」をちらっとだけ思い出すのである。


広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス


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