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読了:休日はコーヒーショップで謎解きを (The red envelop and Other stories), ロバート・ロプレスティ [読書日記]

* 休日はコーヒーショップで謎解きを (The red envelop and Other stories), ロバート・ロプレスティ, 高山真由美, 東京創元社, 9784488287054

ロプレスティの中短編を9編あつめた作品集である。邦訳版独自編纂。

前作(というか、初の邦訳短編集)の「日曜の午後はミステリ作家とお茶を」(2018) をとても楽しく読了し、書店に平積みになっているのが目に付いた本作も表紙とタイトルだけ見て迷わず入手。そのまま3か月ほど積読になっていたのをこのたび読了。

・・・うーん、個人的にちょっと期待外れ。すっかりシャンクス氏ものだと思っていたんですよね・・・。確かにどこにもそんなこと書いてないですが、シャンクスものは短編が沢山書かれているということだったと思っていたし、表紙絵が同じタッチのイラストだし、そもそもタイトルの言葉運びが続きものだと思わせる雰囲気なわけです(これが例えば、「赤い封筒の謎」とかだったら読後感が全然違う・・・と)。

作品自体はそんなに悪くないとは思うのですよ。サスペンス調やタフガイものなんかは自分はちょっと興味が薄いのですが、「奇妙な味」に近いものもあったりして、そこそこ楽しめる。読了後に解説など読むと、どうやらこの作品集は、ロプレスティの幅広い作風の短編に広く焦点を当てたり、また、米国の有名な賞を受賞した中編を紹介したり、といった狙いのよう。出版社(と翻訳者)の文化的活動&営業的活動として正しいといえば正しいのですが。。。個人的には(あくまで個人的には)次にシャンクスものが出たらその時に手を出すか考えるかな、という感じです。

休日はコーヒーショップで謎解きを (創元推理文庫)


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読了:死が二人を別つまで (A New Lease of Death), ルース・レンデル [読書日記]

* 死が二人を別つまで (A New Lease of Death), ルース・レンデル, 高田恵子, 東京創元社, 9784488243029

レンデルの「ウェクスフォード警部」シリーズの長編。1967年作品。
邦訳文庫は東京創元社から1987年に出ているのだが、入手したのは2017年11月。2年の積読を経てようやく読了。レンデル作品は初読。

主席警部のウィクスフォードとその部下であるバーデン警部が、徹夜明けの仕事場(地方の警察署である)で手紙を吟味するところから物語は始まる。16年前に殺人の罪で絞首刑になった男が無実ではないかというのである。やがて現れた手紙の主たるアーチェリー牧師。二人の刑事から否定的な見解と情報を得るも、アーチェリー氏は素人ながら、過去の事件の結論をひっくり返すための調査を開始するのだが・・・、というストーリー。

田舎町ならではのややこしい人間関係の情報が大量に展開され、加えて面倒そうなロマンス話もからみ、読者としてはどれが手掛かりでどれがいわゆるレッドへリングなのか右往左往する。そして、牧師の調査が進むにつれ、くだんの男の無実を推定する材料はちゃくちゃくと減っていくのだ。いったいこの話をどこに落とすのか心配になってきたころ、あれ?という違和感が提示され、そしてその方向へ転がったストーリーは読者が予想だにしていなかった結末でもって幕を閉じる。(ええええぇ~~~~そんなんでいいの~~~?)

なんというんですかね。英国ミステリの古典の中でも、個人的にだいぶ異色だと思うわけです。とはいっても、現実世界での謎解きとはこんなもの、といった達観も見え隠れしていて、時代的にクリスティ以降だとはいえちょっとした驚き。当時としてはだいぶ物議をかもしたんではないでしょうか。そのへんも込みで、都築道夫の解説が短めでそっけないのが微妙に残念だったりしました。先生もうちょっと解説してください(笑)。


死が二人を別つまで ウェクスフォード警部シリーズ (創元推理文庫)


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