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読了:シャーロック・ホームズの栄冠 (The Glories of Sherlock Holmes), ロナルド・A・ノックス/他 [読書日記]

* シャーロック・ホームズの栄冠 (The Glories of Sherlock Holmes), ロナルド・A・ノックス/他, 北原尚彦/編, 東京創元社, 9784488169077

いわゆる贋作ホームズもの、パロディ、パスティーシュのたぐいの作品を集めたアンソロジーである。
あらためて自分の書棚をみてみると、ドイルの作品も含めて「ホームズ」と名のつく書籍が30冊近く。ほとんどがこの種の作品もしくはアンソロジーである。そこに加わる1冊なのだが、本書の特徴はその執筆陣(といってもこの出版のために執筆したわけではもちろんないわけだが)。
ノックス(陸橋殺人事件!)から始まり、ベントリー、ミルン、などなど、そうそうたるメンバーが続く。

収録柵のなかには少々マニアが過ぎるのか、解釈に困惑するような作品もあったりするわけだが、それとは対照的にまるでドイルが書いたかのような体裁の作品もちらほら。かと思えば、モリアーティ教授がアメリカに登場してみたり、もう縦横無尽な感じ。ホームズものとは、それだけ後年のひとびとにアイデアを想起させるネタ帳みたいなものなのかも。

編者による巻末の解説、これがまたいろんな意味で面白い。このへんはシャーロッキアン病膏肓という感じなのでしょうか。いやはや。
たしか第2集もちかぢか刊行という話をどこかで読んだので、それも楽しみにしておきたい。

シャーロック・ホームズの栄冠 (創元推理文庫)


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読了:血か、死か、無か? (Is It Blood, Death or Null?), 森博嗣 [読書日記]

* 血か、死か、無か? (Is It Blood, Death or Null?), 森博嗣, 講談社, 9784062940993

森博嗣のWシリーズ第8弾。今回はエジプトが舞台になる。
帯紙に「人間を殺した最初の人工知能」とか「通信環境にない躯体はいかにした外界とつながったのか」とか、いくつか派手目な煽り言葉が並ぶ。

例によって謎のコンピュータがもろもろの事情により発見され、これを調査するためにエジプトに赴く面々。建築物にからむちょっと面白い描写が続き(このあたり森先生のお得意な分野であろう、あれ?犀川先生だったかな)、さらにWシリーズの前回作品までの話とのリンクが構成されていく。

しかし本作の眼目は第3章以降でしょうね。
(少々ネタばれに近い話になってしまうが、このシリーズは既にミステリではないので…。)
森博嗣作品群をずっと読みついできている読者は、固有名詞としての「メ○○○○」を目にしておやっと思うという仕掛け。さらにそれをアナグラム的にいじる。しばらく読み進めると、またもや「ミ○○」なんていう懐かしの固有名詞が出現。Wシリーズ特有のちょっとしたドンパチが続くのだがそれはおいておくとして、微弱な生体反応なんていう表現が出たら、もう2004年くらいに読んだアレのことに決まっています。

読み終えて・・・いやいやいやすごい話でした。
2年前、Wシリーズ第1弾に手を出していて良かった、と思えた瞬間でした。森マジックですね。

血か、死か、無か? Is It Blood, Death or Null? (講談社タイガ)

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読了:怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関, 法月綸太郎 [読書日記]

* 怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関, 法月綸太郎, 講談社, 9784062937504

法月の怪盗グリフィンシリーズ第2弾である。
本作単体で読んでも大丈夫だろうが、多少の予備知識があるとより楽しめるだろうから、前作「怪盗グリフィン 危機一髪」を先に読むといいかもしれない。
今回グリフィン氏が依頼される仕事は、とある奇矯なSF作家が残したとされる未発表原稿の入手。予備調査を始めると、同じものをなぜかCIAも狙っているらしい。SFの原稿にスパイ組織が興味を示すのは何故か・・・というところをちゃくちゃくと深堀りしていく、というストーリー展開である。

ちょっと気になるのは、中盤以降もおもしろがって読み進められるかどうかが、「量子計算機」にかかわる技術を多少なりとも耳にしたことがあるかどうか、にかかっている気がする点。個人的には、ちょこちょこ現れる固有名詞やら概念やらにクスクス笑いながら楽しんだのだが(「キャビット」には吹き出した)、これって一般的なのかどうなのか。

まぁそうはいっても前作同様、巧みな会話のやりとり(それは怪盗がその場しのぎ?でぽんぽんしゃべっている内容も含む)をはたで見て楽しむ、というのが本作の正しい楽しみ方な気もする。終盤まで読んだところで著者が仕掛けた全体像がわかるわけだが・・・、さてどうなんでしょうねこれ。

怪盗グリフィン対ラトウィッジ機関 (講談社文庫)


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