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読了:海を見る人, 小林泰三 [読書日記]

* 海を見る人, 小林泰三, 早川書房, 9784150307974

故・小林泰三のハードSF短編集である。
小林作品は2作目の読了。前回1つ目として読んだのがミステリだったのでミステリ作家だと思っていたのですが、実はSFもあるのだということで手に取ってみたもの。

ハードSFにも種類や立場がいろいろあると思うが、これは(主に既知の)物理現象が極限に表れているような状況を舞台に、そこに置かれた者たちがどう感じてどう行動するかといった物語になっているらしい。事象の地平線だの特殊相対性理論だのマイクロブラックホールだのという単語(や概念)が飛び交いつつ、あくまで語り手たちの目線での状況理解を軸に話は進んでいく。おそらくこの、語り手たちの目線で、というのが肝なのであろう。読者としてはいろいろ頭をひねりながらこの「舞台」がどういうことになっているのか、考え考え読み進むことになるのだ。

もっとも個人的には、宇宙物理学に造詣がたいして深くない読者(私のことだ!)が、読み終えたときにああそういうことだったのかと膝を打てるような、舞台世界の説明があるとうれしいなと思う作品がいくつかあったというのは偽らざる感想。解説子によるとそこのあたりも小林作品を楽しむポイントのようなのだが、それはなかなか高尚すぎて普通の読み手は置いてきぼり感が残るような気がした。まあ読み手としての私のチカラ不足なんでしょうね。(ホーガンくらい懇切丁寧だと対象読者が広がるのでは?)

収録作の中で一番のお気に入りは「独裁者の掟」。ミステリ要素が感じられたせいかもしれないですが。

海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)


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