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読了:紅蓮館の殺人, 阿津川辰海 [読書日記]

* 紅蓮館の殺人, 阿津川辰海, 講談社, 9784065168196

本格ミステリの長編である。阿津川作品は初読。
帯紙には、「炎上する館」「ランキング席巻!」「新たな「館」誕生!」などなど、刺激的なポップが並ぶ。

とある山奥にある一風変わった「館」、この館を建てて住まっている高名な作家とその家族の4名、そこに山火事に追われてばらばらに避難してきた5名の男女。登場人物は基本的にこれだけで、いわゆる閉ざされた館ものである。さらにこの館、施主である作家の趣味ゆえという理由で、いろいろな仕掛けが施されているというのだ。常識的に考えて存在する意味が不明だが、本作では重要な意味を持つ「釣り天井の部屋」。こういう大技なネタを仕込むには奇矯な人物の意志をもちだすしかないだろうから、そこはまずは納得して読み進める。

さて物語はおおむね時系列に進むのだが、ときおりフラッシュバック的に過去のエピソードが語られたり、特定の人物の独白のようなシーンが挿入されたりする。阿津川氏は若い作家ということで、さすがいまどきの手法という感じである。着々と読んでいくと、ところどころに微妙な齟齬が目に付くようになる。これがなかなかさりげない。それってもしかして?いやいやそれはさっき否定されたよな?などと裏読みしながらの楽しい読書タイムの開始である。

そして最後の最後の名探偵による謎解き。いやー驚きましたね。齟齬の数々がぴたりと嵌まる。
ちょっとしたカタストロフィを感じつつ、エピローグ部分に進むと、、、うーん、これ、蛇足ぽくて気持ち悪くてしかたなかった。違うやり方でこの部分描写できなかったものですかね。

# あとですね、エンジニアの観点からですが、この制御方法あぶなくて仕方ないです。誰だこれの設計を請け負ったのは。技術者倫理にもとる。(笑

紅蓮館の殺人 (講談社タイガ)


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