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読了:アリバイ崩し承ります, 大山誠一郎 [読書日記]

* アリバイ崩し承ります, 大山誠一郎, 実業之日本社, 9784408555485

アリバイ崩しものの短編集である。大山作品は「密室蒐集家」に続き2作目の読了。

本作の主人公は、とある時計店の若き女主人、時乃さん。謎を持ち込むのは県警捜査一課の捜査員、アリバイ崩しに悩みぬいた末に時計店に相談してしまうと、安楽椅子探偵よろしく時乃嬢はたちどころにアリバイの矛盾を看破するのだ、というお話。
ミステリの形式としては「隅の老人」「ママは何でも知っている」の系統。それをアリバイ崩し縛りで連作にしましたという趣向であろう。

まあなかなか楽しく読ませていただきました。どのエピソードもちょっと偽アリバイの仕掛けがややこしいので、ちゃんと読んでないと置いていかれる。短編なので少し戻って読み直せばよいのですが、ライトなミステリ読者だとつらいかもしれない。

一方で、その目的のためのそこまで凝ったことやるかなとか、素人が最後の最後でミスったら周到な仕掛けがすべておじゃんとか、仕掛けが露見した瞬間に犯人まるわかりとか、クスリの持続効果って人によって強かったり弱かったりとか、いろいろと突っ込みどころも個人的にはたくさん。ミステリマニアな人はいろいろ気になって気になってしかたないのでは。

しかしそんなところは気にせず、凝りに凝ったアリバイ工作がバシバシと粉々になっていくさまを楽しく読む、がよいのでしょうね。テレビドラマの原作にもなったようですし。

アリバイ崩し承ります (実業之日本社文庫)


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