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読了:AI vs. 教科書が読めない子どもたち, 新井紀子 [読書日記]

* AI vs. 教科書が読めない子どもたち, 新井紀子, 東洋経済新報社, 9784492762394

ディープラーニングに代表されるいわゆる第三世代のAI技術を下敷きに、現時点のAI技術の実力、現在の延長線上におけるAI技術の限界、一方でそれを使う側としての人間(の教育)の課題、について解説する教養的読み物である。
タイトルから想像する内容より、圧倒的に面白い、というのが個人的だが読後の感想。機械学習の社会実装、もしくは中等教育(ここ重要)に興味のある人には力強くオススメ。

著者は、NIIで人工知能研究をやっている新井先生。そこら辺の記者やらテクニカルライターもどきの書いたものとは深さが違うことを期待して読み始めた。
内容はというと、前半は現在研究対象として主流となっているディープラーニングベースのAI技術の現状解説(なにができて、なにができないのか)と、この技術を推し進めていった先の将来像(何がどこまでできるようになりそうか)の推定の話。そのうちコンピュータがなんでもやってくれる or 人の代わりをやってしまう、なんていう技術理解不足から来る幻想をぶっ潰す、という導入。そうはいっても、特定の知的労働分野をAIが実用的に代替できるのはほぼ確実、それっていったいどんな分野?というのが続く。
これらを踏まえての後半。じゃあAIが当分(現在の延長線上では)できない事柄を人間がやっていければいいんだよね?という問いに、日本の教育データをもとにバッサリ斬る。国内の大規模な調査によると、文章(例えば数学の問題文)を論理的に理解できていない学生がかなりの割合いるようだ、というのが骨子。(このへんの調査と分析は、さすがNII(国立情報学研究所)の真骨頂である。)
そして三段論法的に、こんなんじゃ「AIが当分できない仕事」をやれない人間がたくさん社会で職を失って取り残される、というのが本書が提示する危機感なのである。対策は・・・中等教育を地道に頑張るしかない、ようです。王道は無し。

閑話休題、後半に出てくる偶数奇数の問いで「典型的な誤答」を自分もやらかしてちょっとショックだったのだけれど、その後すぐ示されたグラフを読んで笑ってしまった。まさに統計の示す通り。いやはや。

【2019年ビジネス書大賞 大賞】AI vs. 教科書が読めない子どもたち


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