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読了:ゲームの名は誘拐, 東野圭吾 [読書日記]

* ゲームの名は誘拐, 東野圭吾, 光文社, 9784334738853

東野圭吾のサスペンス系ミステリー。2000年の発表。
本作はいわゆる倒叙形式になっており、終始「犯人」側からの視点、主観で描かれているのが特徴である。

主人公・佐久間は、中堅広告代理店勤務のバリバリの広告マンという設定。
読み始めてすぐ、なんなんだこのわざとらしいイヤミな奴は~、という第一印象。コイツの調子に最後まで付き合うのか・・・と微妙に萎える。そしてこれまたわざとらしい偶然によってストーリーは転がり出し、このあたりから展開がスピードアップしてくる。そして最後に待ち構えているどんでん返し。途中でうすうす感じながらも、ありゃーやっぱりそういう事態になっちゃうのか~的な結末。もっとも個人的には最後の最後の切り札的なアレはちょっと微妙な印象。そりゃそうだけど、だから?という感じ。

以下は蛇足です。
いまさらどうしようもない話ではありますが、やはり2000年に書かれた話を20年近くたってから初見で読む、というのは、描かれている内容にテクノロジーな話がふんだんに含まれていると、これが読んでいてすごくつらい。
「携帯電話、インターネットを駆使し…」なんて背表紙にまで書かれてますけど、それらの使われ方が完全に昔ばなし。もちろんそんなの当たり前なんですが、でもつらい。
自分ももう忘却の彼方ですが、2000年というと、i-mode(これすら死語か?非力で細い回線の携帯電話端末で限定的ながらwebブラウジングをできるようにした技術)がサービスインした翌年。光ファイバなんて夢の中、ようやくADSLがサービスインして、電話線にモジュラジャックでつなぐ28.8kbpsのアナログモデムがまだ現役。Wi-Fiなんて言葉すらまだ無い。Windowsは98SE or 2000で、まだXPが出ていない。こんな時代です。
かえって、1990年以前を舞台に設定して書かれたミステリのほうが、犯人に電話線を切られて外部と連絡が取れない!的な割り切りが受け入れやすい感じがしました。書く側としても難しいところなんでしょう。

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)


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