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読了:本バスめぐりん。, 大崎梢 [読書日記]

* 本バスめぐりん。, 大崎梢, 東京創元社, 9784488487072

公営の移動図書館を舞台にしたコージーミステリである。
大崎ミステリは、これまで書店員が主人公であったり、出版社の営業マンがそうであったりと、本がらみが舞台であることが多い。そこへ来てのこの新シリーズである。楽しみである。

メインキャラクタは、移動図書館担当の若手の司書「ウメちゃん」と、同シニアスタッフで運転手でもある「テルさん」。さすがの大崎の筆で2人ともいい味を出しているのだが、やる気まんまん空回りもある案外有能司書のウメちゃんよりも、前職はSEを何十年もやっていたバリバリの会社人間から転身したテルさんに興味津々。機械相手がメインの技術職という設定なのか、接客(というより一般人との人付き合い?)がいまいちのテルさん。いやーSEの人って仕事の半分は営業だからそんなことないよねーと頭の隅で思いつつも、元SEのシニアな人が全くの別分野で活躍する話という設定自体が珍しい気がする。それでいてテルさん、このお話の最後まで、技術ネタを語るとか昔取った杵柄的な活躍を一切しないのだ。

世の中そんないい人ばかりでもないよとか、そういう突っ込みもあるかもしれない(エンデの本の話は読んでて泣けてきました)。でも、こんなあったかい話も、たまにはみんなで読みたいものですよね。

本バスめぐりん。 (創元推理文庫)


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