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読了:38億年 生物進化の旅 池田清彦 [読書日記]

* 38億年 生物進化の旅, 池田清彦, 新潮社, 9784101035260

地球上の生命がいかに誕生し、いかに現代の状況に進化してきたか、を総括的に概観したもの。いきつけのエキナカ書店に平積みになっていたものを購入。読み終わってから気づいたのだが、著者は生物進化については少し異端扱いされている模様だ。(あとがきによると、ようやく最近は時流が自分に追いついてきた、とのことだが。)

本書のトピックとしては、その第一は、生命機能(たんぱく質の維持と複製)はいかに作られたのかの解釈、第二は、自然選択だけでない能動的選択による進化説明、あたりか。生命発生に偶然性が関与していることに異論はないが、そのあたりのストーリーが平易にわかりやすく解説されているところに好感がもてる。生物自身が行う能動的選択による進化(というより、生き延び方のパラダイムシフト)の主張は、いろいろ学説的に批判がある模様だが、なかなか説得力があって面白いものだ。十数年以上前に雑誌「Newton」などで説明されていた内容から一歩踏み出していて、なんとなく合理性を感じさせる。

文庫にしては図版は充実しているものの、生命進化の解説本としてはちょっとものたりない。
この内容とタイトルで店頭で本書を手に取る読者は、地質年代の「紀」の順番をそらんじているはずもない素人が多いと思われる。巻頭に掲載されているような年代表を章ごと節ごとに載せるなり、章ごとに取り扱う進化系統樹(の確立している概略だけ)を示すなりすると、もう少し参照用途にも使える良書になったのでは、とも思う。


38億年 生物進化の旅 (新潮文庫)


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