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読了:フレンチ警部とチェインの謎 (Inspector French and The Cheyne Mystery) F.W.クロフツ [読書日記]

* フレンチ警部とチェインの謎 (Inspector French and The Cheyne Mystery), F.W.クロフツ, 井上勇, 東京創元社, 9784488106058

クロフツによるフレンチ警部シリーズの長編。本作品は、クロフツお得意の鉄道アリバイ崩しものではなく、暗号解読もの。さらにストーリとしては暗号が主体と言うよりは、チェイン君の冒険譚と、フレンチ警部の推理が冴える冒険物語に近い。

クロフツのほかの作品にもこういう例はあるが、フレンチ警部は物語の半分が過ぎるあたりでようやく登場する、という構成だ。前半は、チェイン君が素人なりに苦労しつつ、降りかかる冒険に挑んでゆく話がちゃくちゃくとすすむ。そして後半に入って、フレンチ警部が事件を引き取り、足を使った地道な聞き込み捜査やらを逐次進めていき、しだいに捜査の網を絞っていき、そして・・・、という形である。途中に暗号解読の話があるが、そこがクライマックスと言うわけではない感じである。

本作は舞台が第一次大戦後の欧州であるので、そのあたりの時代も含めた背景事情がストーリにしっかり組み込まれている。日本だと横溝あたりが好んで書きそうなテーマかもしれない。

最後の結末のあたりはちょっとばかり、ベルヌとか、そういう時代の小説を髣髴とさせるものがあるが、まあ、そのあたりは良しとしましょう。ハッピーエンドなので読後感も良いし、クロフツというとアリバイ崩し、という固定観念を壊すのに良い読み物ですね。

フレンチ警部とチェインの謎 (創元推理文庫 106-5)


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