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読了:女王国の城 有栖川有栖 [読書日記]

* 女王国の城, 有栖川有栖, 東京創元社, 9784488414054, 9784488414061

江神次郎シリーズ(学生アリスシリーズともいう)の第4弾である。文庫で上下巻の2分冊。このシリーズの長編は前作発表から10年以上たっていて、なかなかスゴイ状態ではある。

時代はバブル崩壊前夜ごろ。岐阜の山奥の新興宗教本拠地にそびえる「城」を巡って、謎また謎の連打、殺人につぐ殺人が巻き起こるのを、江神さんがばっさり!と解き明かすのだ。

物語のかなり冒頭から、とある事情で警察が事件に介入できない状況が発生、やむを得ず江神さんほかミステリ研の面々が謎に挑むのだが、、、と、この設定自体について当初、ありゃりゃそんな安直な「嵐の孤島」状況ですかぁ、と思ってしまった私は相当浅はかでした。うぅ、そんな伏線でしたかー、完全にやられました。そういわれれば確かに○○の言動とか、やたらめったら不自然なんですよねー。

バブル崩壊前夜という時代設定も巧みだ。作中でもチラッと触れられるが、そう、アレが普及してしまっているとこの話はほとんど成り立たないのだ。(言い方を変えると、その時代を経験したことのない若い読者だと、この作品の世界に没入できないかも知れない。それはそれである意味不幸なのかも。)
そもそもミステリ研が事件に絡むきっかけとなった江神さんの謎の行動についても、最後にはその理由が明らかになる。有栖川(の長編)作品は、徹底してロジックを埋めてくるので、読んでいてとても安心だ。作中に大量にちりばめられた謎の数々が、最後の最後にすべて綺麗にクリアーになる、という構成自体、ミステリの王道とも言えるでしょう。あー読んでよかった・・・と心から思える出来ですね。

女王国の城 上 (創元推理文庫)


女王国の城 下 (創元推理文庫)


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