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読了:妖女のねむり, 泡坂妻夫 [読書日記]

* 妖女のねむり, 泡坂妻夫, 東京創元社, 9784488402204

泡坂妻夫の長編ミステリである。泡坂は短編ばかり読んできたので、長編は先日読んだ「湖底のまつり」に続いて2作目の読了。
カバー絵、タイトル、それに裏表紙の要約を読む限りでは、なんだか怪しげな幻想小説じゃないかと思えてしまうが、驚くなかれ実は・・・という代物である。

冒頭、ちょっとした偶然により興味深い書き物が見つかるところから物語は始まる。その謎を解くために(というより、掘り出し物で儲けようという思惑で)長野県へと向かう主人公。その列車内で第二の偶然の出会いが演出され、そして物語は輪廻転生にからめたかたちで本格的に転がり出すのである。

主人公たちはすべて即断即決で行動も早い。今でいえばジェットコースター的なミステリの様相。終盤に入ると、幻想小説はそのベールを脱ぎすてる。東京と長野を行ったり来たりしながら、都合数日間の物語は一気に完結してしまうのだ。

いろいろと偶然に依拠して話が進んでいくのが気に入らない向きもいるだろうが、これはあくまでも計画的犯罪小説ではないのでOKではないかと思う。ラストで冒頭のさりげない伏線にもどってくる(しかもその元の描写がまた・・・)ところなど、さすが泡坂という感じ。
当初はどうなることやらと思いながら読み進めたが、結局のところかなり楽しめました。

妖女のねむり (創元推理文庫)


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