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読了:残酷な進化論 : なぜ私たちは「不完全」なのか, 更科功 [読書日記]

* 残酷な進化論 : なぜ私たちは「不完全」なのか, 更科功, NHK出版, 9784140886045

タイトル通りの科学啓蒙本である。

本書の大きなテーマは、ヒト(ホモ・サピエンス)は進化の途中経過のある一点なのであって、他と比べていちばん優れているわけでも、いろいろやった結果の最終到達点であるわけでもない、という話を皆さんにわかってもらいたい、というところか。かといって、進化したことが我々を不健康にしたのだ大昔の生き方に帰ればよいのだみたいな言説はナンセンス、とも説く。

この大きな流れに絡めて、「自然淘汰」「生存闘争」の概念を、平易な表現や例を挙げて少しずつ解きほぐして解説していく作業。これはなかなか大変だなあと思いながらも、楽しく読み進めるのである。ヒトがほかのいかなる生物より優れているなんて、完全にヒト(の一部の人)の勘違い以外の何物でもない。

このあたりのネタとして、鳥類の肺の構造の話は知っていたけれども、窒素排出機構の話はいわれてみればなるほどという目からうろこな感じ。ジャレド・ダイヤモンドばりではありませんが、たまたまとある境遇でとある能力を(他より多少)多めに持っていた(ので淘汰されなかった)だけだった、と考えるしかありません。


残酷な進化論: なぜ私たちは「不完全」なのか (NHK出版新書)


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