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読了:白の恐怖, 鮎川哲也 [読書日記]

* 白の恐怖, 鮎川哲也, 光文社, 9784334776978

巨匠・鮎川哲也による密室ものミステリである。文庫になるのが初ということで帯紙にもでかでかとその旨書かれている。
鮎川というとアリバイ崩しものというイメージがあるなかでの密室ものということである。6か月あまり積読になっていたのをようやく読了。

ページを繰ってみるとちょっと活字が大きめ。解説などを読むと比較的短めの長編ということで、これまでにも全集などに収録されていたとの由。最近は字が大きい文庫が多いが、それにしても大きい気がする。
語り手はとある顧問弁護士である。富豪家の相続関係の処理で、当時の時代ゆえの行方不明となっている法定相続人を探すところから話は始まる。まぁそこは重点ではないことは読者も承知の上だ。12月のある日、時ならぬ吹雪模様の軽井沢の屋敷に集められる関係者の面々。「雪の山荘」ものということである。果たして事件は起き、たまたま居合わせた軽井沢署の警部と監察医が調査に乗り出すのだが・・・という展開。

読みながら、雪の山荘ものなのに警官と医者が一緒に閉じ込められている状況に不審を抱いたのだが、これは最後の最後にううーんとうならされたというわけである。そうきますか。いや参りました。

白の恐怖 (光文社文庫)


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読了:甲賀三郎 大阪圭吉 ミステリー・レガシー [読書日記]

* 甲賀三郎 大阪圭吉 ミステリー・レガシー, ミステリー文学資料館・編, 光文社, 9784334776541

日本ミステリーの古典を集めたミステリーレガシーシリーズ。本書はタイトル通り、甲賀三郎と大阪圭吉の作品集である。2年近く積読になっていたのをようやく読了。

個人的に、大阪作品は創元の文庫で2,3冊読んでいたが、しかし甲賀作品は、「13の密室」渡辺剣次・編に収録の「蜘蛛」を読んだことがあるだけ。そういうわけで書名タイトルを見た時点で迷うことなく手が伸びた。本書は、甲賀作品のミステリ2編+随筆集、大阪作品である単行本「死の快走船」収録作品すべて(ミステリは10編)という構成。このうち大阪作品は、上記の文庫で5編は読了済みという状態だが、他は読んでないので迷わず買うことに。

さて中身ですが、甲賀作品は例によって理系ミステリの様相。昭和初期という時代を反映している色々と興味深い事物がでてくるのはともかくとして、メイントリックがものすごく理系的なのである。こういうタイプのトリックは一時期冷遇されていたような気がするが、なかなかどうして面白い。
続いて大阪作品。読んだことがある作品が半分あるわけだが、先入観無しで読んでみれば、案外忘れているところも多くて楽しめたのが実態。(創元文庫のほうの奥付を見ると2001年。良いことなのか悪いことなのか、20年近くたてば結構忘れているということであろう。)この人の作品は、トリックもそうだが動機の描写が強烈な印象を残すのだ。

そしてまだ個人的な話。Amazonの「ほしいものリスト」に甲賀三郎「蟇屋敷の殺人」を入れたまま買ってすらいないことに、これを書きながらようやく気付く。また絶版になる前に入手しておかなければ。。。

甲賀三郎 大阪圭吉: ミステリー・レガシー (光文社文庫)


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