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読了:天空の矢はどこへ? (Where is the Sky Arrow?), 森博嗣 [読書日記]

* 天空の矢はどこへ? (Where is the Sky Arrow?), 森博嗣, 講談社, 9784065118177

森博嗣のWシリーズ第9弾である。帯紙のポップは「内乱か侵略か?」。
舞台は久しぶり?に日本である。九州にあるウォーカロン地下工場が何者かに占拠されて内部と連絡がつかないという話で、警察と情報局が集結しているところにいつもの面々が乗り込むという流れだ。なぜ現地の乗り込まねばならないのか読者も主人公もハテナと思うわけだが、そのあたりはうまいこと説明づけてしまう。少しずつ情報が増えていって、推測と仮説と証拠立てを進めていく手はずはハードSF的で結構面白いし、後半になって再度注目を集める行方不明の航空機へのアプローチも最近のSFX映画のおかげで情景が思い浮かびやすい。

ただちょっと、今回の事件?のそもそものキッカケ(いや〜そうきますか、と驚いた)をこういう理由づけにしてしまうと、もう何でもアリになってしまって今後のシリーズ展開に悪影響ないのかなぁ、などと余計なことも考えてしまった。

エピローグ的に語られるキョート博物館への訪問は、つまるところ前作の続きの話。これはこれで気になるデータであるが、もうそのあたりは森先生の筆の赴くままに読者は話についていくしかないのでしょう。この先をどう繋いでいくのか、楽しみにしていましょう。

天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow? (講談社タイガ)


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読了:テツ語辞典: 鉄道にまつわる言葉をイラストと豆知識でプァーン! と読み解く, 栗原景・文、池田邦彦・絵 [読書日記]

* テツ語辞典: 鉄道にまつわる言葉をイラストと豆知識でプァーン! と読み解く, 栗原景・文、池田邦彦・絵, 誠文堂新光社, 9784416518137

イラスト入りの鉄道用語辞典。

タイトルを読めば察しはつくが、学術的なお固い辞典ではなく、どちらかというとユーモア溢れる楽しい読み物、である。言い回しも含めて文章の妙でクスクス笑える項目やら、(少々年季の入った鉄道マニアでも)おおぉそうだったのか!的な新知識まで、色々な意味で楽しめる構成。

イラストのほうも、細かいところまでしっかり書き込まれた資料性のありそうなものから、用語と全然関係なさそうなかなり個人的なネタやら(ハトヤ大漁苑には笑った)、これまた変化に富んでいて面白い。

ちなみに個人的に一番驚いた「新知識」は、阿川弘之の項。絵本の名作「きかんしゃやえもん」の作者なんですね。いわれてみればなるほどそういう系統の絵本な訳ですが、ええぇー、と。

テツ語辞典: 鉄道にまつわる言葉をイラストと豆知識でプァーン! と読み解く

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読了:マルタの鷹〔改訳決定版〕 (The Maltese Falcon), ダシール・ハメット [読書日記]

* マルタの鷹〔改訳決定版〕 (The Maltese Falcon), ダシール・ハメット, 小鷹信光, 早川書房, 9784150773076

ハードボイルドものの古典的超有名作品(1930年)である。
物語の舞台はカリフォルニアはサンフランシスコ(とその周辺)。私立探偵サム・スペードの事務所に現れた若い女の依頼人。サムは相棒のアーチャーと依頼を受けるのだが、しかしこれがトラブルの始まりで・・・という展開。

個人的にミステリ系統の小説はいわゆる本格推理が好みで、ハードボイルドの味のものはほとんど読んだことがなかった。手に取ったきっかけは、先日読んだコージー風ミステリの小道具として、「マルタの鷹」初版本というのが出てきたから。そんなすごいものなら食わず嫌いしていないで読んでみるべし、というのがモチベーションだ。

読了して、うーんやはりハードボイルド系は自分には合っていなかった、と再認識したというのが偽らざる感想。登場人物同士の駆け引きやら嘘の話やらが大量にぶちまけられていて、だいたい大変にややこしい話。それでいて本質的な謎はほとんど提示されない。嘘つきは誰なんだとか不毛な想像をしながら頑張って最後まで読んだのに、結末はエエーなにこれーとしか言えない内容。主人公も探偵なんだかギャングなんだかわからん言動(これが読む人によってはかっこいい!のかもしれないが)だし、マルタ島がどう絡んでくるのか楽しみにしていたらこんな三行記事みたいな扱いだったり。もしかすると、名作と聞くハンフリー・ボガード主演の映画を見ていないのが敗因なのかも。

まぁその中でも(これもかなり個人的にですが)ちょっと楽しめたのは、この時代のサンフランシスコ市内外の様子がそこここに描写されているところ。Stockton St.のトンネル(Union Sq.の近くですね)が主要な舞台として出てきたり、すっかり観光地なPier 1のフェリービルディングがもう既にあったり。Bay Bridgeができる前はバークレイへはフェリーが通っていたんですねー、とか。

マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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